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“東北ずん子” 小田 恭央 × “魚雷映蔵” 佐野リヨウタ

アニメ「ずんだホライずん」を作った際のこだわり

佐野:うち(魚雷映蔵)はアニメ会社ということで、京都の「地下鉄に乗るっ」では、ご当地コンテンツでありながら短編アニメの制作に挑戦したんですが、ずん子ちゃんもアニメを作っておられましたよね。小田さんの視点から、アニメを作ることへの思いや苦労した点など聞かせて欲しいです。

小田:アニメ制作は、社内にアニメプロデュース系のメンバーがいて、その彼が制作メンバーの調整などほぼ回してくれたので比較的、楽でしたね。むしろアニメを作る上で、どんな新しいチャレンジをするかを重視していました。
以前から、アニメ業界の「アニメーターが儲からない」っていう問題を改善する糸口がないかなと考えていたんです。
そこで、クラウドファンディングのリターンにアニメの原画を入れてみたんですけど、これがそこそこ人気だったので、ある程度、制作費も回収できる目処が立ったんです。そうすると絵を描いた人にちゃんと還元できるので、この仕組みをもう少し掘り下げられたり、今流行りのNFTに応用すれば、上手くいきそうなビジネスモデルかなと思いました。

佐野:アニメ制作のクラウドファンディングで、原画のプレゼントって最近では当たり前になりましたけど、その先駆けだったとは。制作なさったアニメ「ずんだホライずん」は各地で上映なさっていたかと思うんですが、発信の仕方やアニメの構造にも戦略がありそうですよね。その辺りも伺ってもいいですか?

小田:ずん子ちゃんをボカロに対応していたので、音声合成を使いたいなと思っていたのと、30分のアニメ1本を繰り返し見てもらいたかったので、内容をミュージカルアニメにしました。全部の歌を音声合成だけで歌わせたんですが、これがとても大変でした。アニメを作りながら、音声合成を作って、ミュージカルだから絵と音楽を全部合わせなきゃいけないし、スタッフみんな辛いという…(笑)

佐野:おお。普通にアニメ作るだけでも大変なのに…(笑)

小田:制作はしんどかったんですけど、ミュージカルという構造にしたことで、みんな10回、20回と見てくれるので、そこはすごく良かったです。

佐野:僕らもすぐ賞味期限が来ちゃうようなアニメは作りたくないっていう思いから、演出や内容ばかりをこだわってしまうんですけど、そもそもアニメの中身じゃなくて、仕組みとしてミュージカルを採用するっていう発想は新鮮ですね。

小田:ミュージカルっていうだけで繰り返し見てもらえるのはありがたいですし、
当時、「世界で初めてのことをやりたい」と考えていたので、音声合成を使った商業アニメーションは文字通り世界初なんですけど、その試みが受け入れられたことがとても嬉しかったです。

東北のご当地キャラクターとして根付かせる工夫

佐野:ご当地キャラクターを運営する上で、地域に根付かせるのって実は結構大変だと思うんですよ。例えば、「京都の地下鉄の公式キャラクター」って打ち出せれば、それだけで説得力にはなりますけど、ずん子ちゃんは東北のどこかの組織や行政が作ってるわけじゃないですもんね。単純に「東北のキャラだよ」って自称するだけじゃ定着しないと思うのですが、どのように根付かせていったんですか?

小田:そうですね。根付かせるためには、長く続けなきゃいけないと思うんです。地方キャラは、広告にお金をかけて広げるようなものじゃなくて、コミュニティで成り立つものなので、コツコツ続けて、信用してもらえるまで続けるのが大事だと思います。
実際に始めたばかりの時ってみんな信用してくれなくて、仮に注目を浴びても「変なことが起きているな」くらいにしか思ってくれないので、時間をかけて信用を得るしかないなと思いました。

佐野:なるほど。普通の戦略じゃ、有名コンテンツにかなわないですもんね。

小田:そうなんですよ。だからこそ時間が一番大事だと思いますね。
「そこにある」っていう価値が地方キャラの大事なところなので、使い捨てしちゃだめな気がします。我々ものんびり時間をかけてコミュニティを作って、徐々に仲間を集めてきた感じなんですよ。

ずん子以外のキャラクターたちの立ち位置

佐野:「東北ずん子」の世界には、他の地方のキャラクターもいますよね?その子たちを作られた経緯も伺っていいですか?

小田:はい。ずん子ちゃんのワールドでは、広域地方ごとに1キャラいるんですが、ずん子ちゃんが東北なので、友達は外の地域に設定しています。ずん子ちゃんが、九州や四国の子と仲良くなったりするという関係性が大事なんです。そうしないと東北に縛られて、他の地域との接点が生まれなくなってしまうので。

佐野:東北のご当地コンテンツでありながら、他の地域のキャラが、コラボレーションの窓口のような役割を担っているんですね。

小田:そうですね。他の地域のキャラたちの活用はこれからなんですけど、ずん子ちゃんの世界が広がっていくきっかけになれば良いですね。

佐野:なるほど。「東北ずん子」シリーズってキャラクター単品というより、世界観を楽しんでる人も多いと思うので、様々なキャラクターがいることで、それぞれキャラクターの個性が際立つっていうのも大きな役割かと思います。

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