AKIBA’s GATE 声優養成所/新人声優特集
連載第1回
WAHO學院(EARLY WINGグループ)/松永一輝さん
– 初めてのアニメで、1行以上の台詞があると多いと感じちゃいますよね。
松永 – 『踏切時間』は小倉唯さんと千本木彩花さんの、ほぼ二人芝居の短い作品なのですが、僕の相手役の駒形友梨さんは喋ることが少なくて、僕が演じているキャラクターは心の中で渦巻いていることをずっと言うという役だったので大変でした。
メインキャラの役者さんたちとは皆さん一緒にアフレコさせていただき、初めてで良い経験をしました。
– 先ほどお名前が出てきた駒形友梨さんや小倉唯さんのように、アーティストデビューされている役者さんもいますが、そういったことにご興味はありますか?
松永 – 歌うこと自体はすごく好きなんですが、得意かというと……得意です!(笑)
実際、事務所で歌唱サンプルの収録を担当していただいた音響の方が、「歌やってた? すごく安定してるし、キャラも出て良いね」と言ってくださって、嬉しかったです。
踊る事も大好きで、専門学校時代には日本舞踊をやってハマりまして、専門学校を卒業してからも続けているんです。
– 近年はスマートフォンゲームなどの隆盛で、男性も歌って踊ったりすることが多いですからね。
そういったゲームはプレイされますか?
松永 – 最近ですと、『アイドルマスター SideM』や『あんさんぶるスターズ!』、『A3!』に『アイドリッシュセブン』とか多数やっています。
– 講師として、松永さんの得意分野や、伸びそうなところはどこだと思いますか。
寺井 – 今さきほど本人が言っていたようなところはできて当たり前だと思っています。
やはり新しい引き出しを作っていかないと役者として終わってしまいます。
先程、歌や踊りの話が出ましたが”声優”という肩書を取ってしまうとそれはアーティストであったりアイドルなんです、声優を外して活動をするより、それだけ声優としての演技というところに執着してかないと、20代で終わったりしていくと思います、演技の部分でそこの引き出しを増やしていく、そういう風に先を見る必要があると思います。
– なるほどです。さて、WAHO學院のクラスとコースの特徴を教えていただけますか。
寺井 – まず「WAHO」という名前は、”話す方法”=”話法”。これを横文字にして、WAHOなんです。
今はプロクラスとエキスパートクラスの2つに分かれていて、プロは基礎を徹底的に磨き、エキスパートは実践を徹底的に行うという感じですね。
一言で基礎と言ってしまうと滑舌だったりアクセントだったり声量だったりに行きがちなんですがウチのプロクラスでは感情解放とか感情表現などの表現の基礎をしっかりやっているので、プロクラスでちゃんとやっていれば、あとはアフレコなど自然と身につく技術をエキスパートクラスで学びます。
エキスパートクラスで実践的な内容をやっていく中で、基礎のこういうところが足りなくなってきたということがあればプロクラスで改めて足らない所を学ぶという事も可能です。
– 松永さんが通っていた頃は、そういったコースではなかったんですよね。
松永 – WAHO學院になってからシステムが変わりまして、僕が入った当時は基礎科・本科・専科の3年制度でした。
僕は本科から入って2年目で専科に行って、そして準所属になりました。
– 1年目はプロクラスで、2年目にエキスパートクラスということでしょうか。
寺井 – 実は年数というものがありません。
エキスパートクラスに行くチャンスは毎月あるのですが、プロクラスに入った時点で受けられるようになっています。
オーディションを受ける権利はカードを集めたら受けられるというゲーム感覚のシステムを導入していまして、「腹式カード」「アクセントカード」「縁の下の力持ちカード」「スマイルカード」といった複数のカードがあります。
そのカードが一定数集まった時点でオーディションが受けられるので、早い子では 3〜4ヶ月程度で参加できます。
1年2年という括りでは見ていなくて、まずはプロクラスでしっかりとした基礎を習得して、エキスパートクラスに進むという形ですね。
– 逆に上限はあったりするのでしょうか。例えば5年やっても上がれなかったら退所とか。
寺井 – ウチは、年齢や経験は関係無いということを信条にしていますので上限は決めていません。
よく30才前後の方が「私(僕)は若くないから、アニメーションは無理」という事が多いのですけど、そもそも世間からフューチャーされているのはメインキャラであって、アニメにも当然、脇役もありますし、モブキャラもあるんです。
そもそも無理という事ではないのです。
グループの弱点として年配の役者がいないというのがあって、だったら専門学校や一般から獲得し僕が育てればいいやと思って。
その時マネージャー陣に、滑舌が悪いからと反対されたんです。
でも代表は「寺井くんが欲しい、育てられるというなら別にいいよ」って言ってくれたので、じゃあ僕が育ててモノにすれば良いんだって。
その年齢の方々の味はその年にならないと出せないので、大きな武器ですよね。
他の事務所だと武器にならないかもしれないけど、ウチの事務所としては今できていないところだけ押さえていけばちゃんとした武器になると思っています。
EARLY WINGの音響制作部からは、取ったら使ってくれるという話をもらっていますから本人のやる気さえあれば、どんな人でも育てたいなと。
– どんな人に来てほしいか、ということを伺おうかと思っていたのですが、そう言った意味ですと誰でも来いみたいな感じですか?
寺井 – そうですね。
基本はどんな人でも入ってきてもらって構わないですが、一番はEARLY WINGが好きな人に来てもらいたいなと思います。
代表も言っていますが、相思相愛が一番売りやすいんです。
入る分にはどなたでも、と裾野は広げているのですけど、気を遣うのは辞めていく時ですね。
だから、声優になれなかったとしても、ここで学んだことによって最終的にウチに来て良かったね、と言葉を残してあげたいとすごく思っています。
WAHO學院では特に挨拶や礼儀、業界のルールなどもレッスンで教えているので、「挨拶には3種類あるってWAHOで初めて知りました」と言う子もいて、会釈・中間礼・最敬礼の使い分け方とかも教えます。
大体の人は最敬礼をするんですけど、最敬礼は式典の際に用いる挨拶なので、普通の営業の挨拶では間違った挨拶の仕方になるんですね。
そういったところをイチから教えるとか、あとは「声優は著作権ではなく、著作隣接権(実演家の権利)を持っている」という話もレッスンで細かく教えていますね。
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– そういうお話を聞いていると、声優を育てるというよりも、一人の人間として確立させていくような感じがありますね。
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– 松永さんが通われた専門学校と養成所では当然違いがあったと思うのですが、特にどの点で感じましたか?
松永 – 現場に近いかどうか、というところです。養成所にいた方が現場に近いことを学び、現場に通用するよ…
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