AKIBA’s GATE 声優養成所/新人声優特集
連載第1回
WAHO學院(EARLY WINGグループ)/松永一輝さん
AKIBA’s GATEでは日本のポップカルチャーを広く伝えるため、声優・役者をはじめとした方々に、当サイト独自のインタビューや取材を行なっています。
近年、声優を目指している人は30万人にものぼるとも言われており、声優人気はとどまることを知りません。それに伴い、声優を育成・養成するための機関も数多く存在し、それぞれにおいて特色があります。
そこでこのたびAKIBA’s GATEでは、各声優事務所付属の養成所にお伺いして、講師の方や実際に入所・卒業された方に、養成所の特長などについてインタビューさせていただくことになりました。
特集連載第1回目となる今回は、EARLY WINGグループのWAHO學院校長の寺井智之さんと、同學院卒業生で現在EARLY WING準所属の松永一輝さん。
松永さんは今春のTVアニメ『踏切時間』田西役でプロデビューをしたばかりの新人役者で、こうした取材も初めて受けるということで終始緊張気味の様子。さて、お二人からどんな話が聴けるのでしょうか──。
WAHO學院は、声と喋りのプロである声優を数多く輩出してきたEARLYWING GROUP附属養成所「声優・ナレータートレーニングスタジオ(SNT)」を前身とし、業界の第一線で活躍するプロの声優を輩出し続けると共に、多くの人に「人の心を動かす言葉の話し方」を教え、広めていくことを目的に設立された。
少人数制でのレッスンで細かい指導を行える体制が整っており、実力次第では在学中からのプロデビューも可能。卒業後に向けてプロへのレールが敷かれている。
無料にて資料請求や体験レッスンもできるので、詳しくはオフィシャルサイトで確認を。
– 学生時代は、どんなアニメや漫画が好きでしたか?
松永 – 中学・高校と6年間バドミントン部部活動が忙しくて、ほとんど見ていないんです。
小学生の時は門限が17時までだったので、外で遊んで帰ってから2時間くらいは夕方のアニメを見ていました。
その頃は『カードキャプターさくら』などの女の子向けのものも好きで、僕の家では千葉テレビが映ったので、『ヤッターマン』『キテレツ大百科』といった昔のアニメも好きでした。
ゲームだと『ポケモン』が好きで、小説は読んでいて集中しすぎて酸欠……というか肺が痛くなることが多々あったので、漫画を読む方が楽しかったです。
高校を卒業してから専門学校で2年間学んで、EARLY WINGの養成所に入って、今に至ります。
– 声優になろうと思ったきっかけは何ですか?
松永 – 自分の声を克服したいという想いでした。
当時、この高い声があまり好きではなくすごくコンプレックスで、学生時代はからかわれていたんです。
そのせいか引っ込み思案だったのですけど、高校3年の夏休みの時に、24時間テレビで身体の不自由な方が自分が好きなことを頑張っている姿に感動して、凄いなと思って。
ちょうどその日の夜に自分の耳が聞こえなくなる夢を見て、自分の言葉すら聞こえなくて、それがすごく悲しくて、朝起きたら自然と涙が出ていました。
この夢がきっかけで、自分の声に対しての考え方が180度変わって、世の中には耳が聞こえない、言葉が喋れない人もいるんだ、喋れるというだけですごく有りがたいことなんだと初めて気づいて、声を使った仕事がやりたいなって思ったんです。
当時は声優という職業を知らなかったのですが、声を使った仕事ってなんだろうと思ってガイドブックを読んでみたら、声優になるための学校があるということを知って、じゃあここに行けば声優について学べると思って、専門学校のオープンキャンパスに応募しました。
– 親御さんの反応はどうでしたか?
松永 – 最初はやっぱり不安だと言っていました。
声優業界のことも全く知らないですし、僕自身も何もわからないでオープンキャンパスに行ったので、食べていけるのかとか、この先どうなるかとか全然わからない状態でした。
親としては大学に入って医療の道に進んでほしかったらしいのですけど、自分が決めたことだから応援すると言ってくれて、最後は一緒にオープンキャンパスにも付いてきてくれました。
やりたいことをやらせてもらえているのが有りがたいです。
– 寺井さんにお伺いしたいのですが、親御さんに反対されながら養成所に通っている方もいらっしゃるんですか?
寺井 – 勿論、います。
中には未だに親には言えないけど通っているという生徒もいますし、準所属になったタイミングで親に打ち明けたりする生徒もいます。
– 松永さんが声優になりたいと思った時に、オープンキャンパス以外に自分で何か調べたり練習したりをされましたか?
松永 – 専門学校に入学する前にプレスクールが月に1回あって、予習みたいなものをやらせてもらうことがありました。
– 専門学校や養成所では、児童劇団に入っていたとか演劇部だったという人が周りにいたと思うのですが、不安は無かったですか?
松永 – そうですね。
初めてやりたいと思えることに挑戦できたので、全く不安は無かったです。
入ってみたら、演技未経験の方も周りにたくさん居たので、演劇部の子たちと一緒にレッスンをやると、「うわー!」ってなりました。
逆に何も知らない状態だったので、専門学校や養成所時代は特にがむしゃらだった気がします。
何も考えずとにかく学んで学んでって感じで、あっという間に時間が過ぎていきました。
– この道でやっていけそうという手応えはありましたか?
松永 – 1年目は全く無かったですね。
2年目に入ってから、お芝居をやっているという感覚は身についたというか、初めて体感ができました。
舞台発表があって、特に卒業公演の時は頑張りました。
– その卒業公演を経て、EARLY WINGの養成所に行かれた訳ですが、何故WAHO學院 声優・ナレータートレーニングスタジオを選んだのでしょうか?
松永 – レッスンをいっぱい受けたかったんです。
レッスンが週1回という養成所が多かった中で、週3回あったのがWAHO學院 声優・ナレータートレーニングスタジオでした。
あと、専門学校の進路指導の際にEARLY WINGを勧めてくれた先生が居たので、他の養成所はあまり考えなかったです。
– 寺井さんは、その時のオーディションに関わられていたのですか?
寺井 – 僕はEARLY WING立ち上げの時からいるので、松永くんが受けたオーディションを直接見ていました。
ちょうどその当時くらいから男性が少年役をやり始めた時期だったので、彼を見た時にこの流れに乗れる!と思いました。
こういった周期は繰り返されるので、その周期に合っているというのが一番でした。
当然、育成期間も逆算しなければいけないので、そこにマッチしていることが一つの決め手でした。
もう一つの決め手は、やっぱ彼のもって生まれた愛嬌ですね。
オーディションでは基本声質を見ていて、演技はあまり見ないんです。
僕の立場上育成担当なので「今、できていなくても、僕が育てればいい」と思って、獲得しちゃうんです。
演技というのは、こちらが言っていることをやってくれれば、自然と成長するんです。
ただ、人間性に関しては変わらないところがあったりするので、学ぶ姿勢とか吸収する姿勢というものを獲得する際には一番見ています。
本当に入りたいという熱意を持った子たちには、こちらの言葉が響きやすかったりするので。
でも養成所に入れて蓋を開けてみたら、まだまだだなという子たちばっかりで、それはウチの逢坂良太も白井悠介も皆そうでした。
「何で私を取ってくれたのですか?」とよく聞かれるのですが、僕としては「良いと思ったから」しか言えないですし、一瞬輝くものがあったらそこが一番のポイントなので・・・
「何かこの子気になるよな」っていう子は周りが見ても気になる子なんです。
そこに理由はなくて、松永くんも愛嬌と前向きな姿勢がオーディションで見えたので、それは作っているのと作っていないのではバレてしまうんですよ。
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– 松永さんが通われた専門学校と養成所では当然違いがあったと思うのですが、特にどの点で感じましたか?
松永 – 現場に近いかどうか、というところです。養成所にいた方が現場に近いことを学び、現場に通用するよ…
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