AKIBA’s GATE 声優養成所/新人声優特集
連載第1回
WAHO學院(EARLY WINGグループ)/松永一輝さん
– 松永さんが通われた専門学校と養成所では当然違いがあったと思うのですが、特にどの点で感じました
か?
松永 – 現場に近いかどうか、というところです。
養成所にいた方が現場に近いことを学び、現場に通用するように育ててくれていると感じました。
– この業界、色々な仕事があると思いますが松永さんはどういった方向に進みたいですか。
松永 – 声質的に一番合うのはアニメーションかなと思っています。
自分の強みは何かと考えた時に、総じて子供っぽいところがあって、声もそうですし、身長も小さいですし、親からも子どもの頃から変わっていないと言われるくらい童顔なので、そういったところが合わせ人から認識されやすい強みであると自分では思っています。
– 憧れや、目標にしている役者さんはいらっしゃいますか?
松永 – 養成所時代のレッスンで遊びが足らないというダメ出しをされたことがあるので、千葉繁さんが憧れです。
一度、殺陣のワークショップでお会いしたことがあるのですけど、凄くエネルギーがある方だと感じ、アドリブや役に対する考え方が格好良くて、遊びという部分も学びたいなと。
やっぱり自分が持っていないものを持っている方に一番惹かれるので、テンションが高い演技を拝見すると凄いと思いますし憧れます。
– 事務所や養成所は、こうした特性だったり、本人の意向を踏まえて育成を考えるのですか?
寺井 – 芝居を上手くさせるとか個性を伸ばし魅力があるように育成することは可能で、売れる売れないというところは戦略になっていきます、そこはマネージャーがこの子をどういう風に育ててほしいと社内で打合せを行い方向性を決定したりしています。
でも基本は自分が持っているものがベースになるので、そこまで強くは言わないです。
何故かというと「やりたいものだったのが、やらなければいけないになっていないか」と僕はいつも言っているんです。
そうなった時点で成長はすぐに止まってしまうのです。
逆にこういう事をやりたいって言われた時に、じゃあどうすると導いて育てたいと考えています。
松永 – 役者の勉強を始めてから、別の事務所の俳優さんとお会いした時に「芝居のことに関しては聞くな」と言われたことがありました。
自分で答えを見つけるものなので、自分でやってみてどうだったかを提示してから質問しに来い、ということでした。まず自分で考えるようにしています。
間違った場合、その都度ご指摘をいただけるので、やってみて駄目なところを繰り返していく中で、自分の中でこの時はこうしよう、ああしようというところで1歩1歩、着実に成長している実感があります。
準所属になってこの1年、すごくたくさんのことを学ばせてもらったなと思っていて、オーディションだったりお仕事だったりで自分の経験を積めました。
– そんな経験を積んだ中で、4月放送のTVアニメ『踏切時間』のレギュラーが決まりましたが、アニメのレギュラーは初めてですか?
松永 – TVアニメ自体が初めてで、ガヤの経験もありませんでした。
決まった時はすごく嬉しかったのと同時に、いただいた台本を見たらすごく台詞の量が多くて不安になりました。
最初メールで決定の連絡をいただいた時に、脇役で一言二言だろうと思っていたのですけど、実際に台本を見たら「うわぁ!」って。
初めてでこんなに喋らせてもらえるのは不安だったのですけど、マネージャーや寺井さんに芝居を見てもらって、それで自信がつきました。
ですので、自分のやるべきことはやったという覚悟があったので、現場では緊張しなかったです。
– 周りの人にデビューのご報告はされたのですか。
松永 – 公式サイトに情報が上がってから言いました。
ただ、役者仲間ではない友達には言ってなくて、いつ言おうかと思っていたのですが……今日言います!
– デビューが決まった時に、自分へのご褒美みたいなのは買いましたか?
松永 – 服が好きなので服をいっぱい買いました。
今日着ているこれもそうです!
服は前から好きで、こういう服を着るとこう見えるんだとか、こういう自分も良いなとかを探すのは結構好きです。
– 事務所から、服装に関してアドバイスはされるのですか?
寺井 – 服装チェックは養成所時代から抜き打ちでやっていますが準所属になったらファッションチェックに変わるんです。
ポイントを分かりやすく言えば、「近所のコンビニに行く格好で来るな」です。
人前に出るのだから、それなりの服をちゃんと着るという意識で、それはお金をかけろと言っているのではないんです。
実際、似合わないならブランド物でもNGです。
僕はいつも例えで「新入社員がそういう格好をしていますか?」と聞いているんです。
新入社員は新入社員らしい格好をしているので、新人の役者は新人の役者という格好しないといけないんです。
良い服を着ていたとしても着られていたら意味が無いし、自分に合っている服を見つけ出しなさいということは言っています。
当たり前の話なんですが服のセンスも磨けないのにお芝居のセンスを磨けるわけがない、というところから指導はしていて、化粧とかアイラインとかも世間的にはこういうのが流行っているけど、声優業界的にこういう髪型はファンからNOって言われる可能性が大きいよね、という話をしています。
– ちなみに、松永さんの今日のファッションは……?
寺井 – 問題無いと思います。
キャラクターと服がイコールになっているので。
– では今度は試しにスーツとか着てみてください(笑)。
松永 – スーツは着られている感が出ちゃうので、本当に無理です(笑)。
寺井 – 新人でジャケットとか着てくる子は、やっぱり芝居が硬いです。
それに、あまりきちっとしすぎちゃうと、芝居も期待されてしまってハードルを上げることになるので、新人は新人らしい格好をしていかないとですね。
松永 – 自分のコンセプトとしては、かわいいの中にも格好良いを入れたくて、黒は格好良いんです!
寺井 – 松永の服に対して駄目だと言ったことは無いです。
ただ、こちらも頑張らなければいけないなと思うのですが、大体の新人は台詞を多くもらった時に「嬉しいと同時に不安がある」と言うのですが、不安にさせているということは、こちらの指導がまだ行き届いていないんだなと。
準所属になるとレッスンは週1回しかないので、残りの週6日間をどうやって芝居と向き合うのか、ということを考えなければいけないです。
不安がよぎるのは、それだけの台詞量をこなしていないからなんです。
週1回のレッスンでこなしたとしても、残りの週6日の環境に負けてしまうので、本人たちに託すしかないんです。
台詞量が多いといっても、TVアニメならばそれほどではないので、本来ならもっと喋りたいという気持ちが湧き上がってこないといけないんです。
次のページへ
– 初めてのアニメで、1行以上の台詞があると多いと感じちゃいますよね。
松永 – 『踏切時間』は小倉唯さんと千本木彩花さんの、ほぼ二人芝居の短い作品なのですが、僕の相手役の駒…
前のページへ
– 学生時代は、どんなアニメや漫画が好きでしたか?
松永 – 中学・高校と6年間バドミントン部部活動が忙しくて、ほとんど見ていないんです。小学生の時は門限…
COMMENT コメント