サロン・デル・マンガ スペシャル!
連載「漫画 × バンド・デシネ!」では、2017年に急逝した谷口ジローのバルセロナ展について毎週取り上げているが、本展でまず最初に展示されていた作品は、AKIBA’s GATEでも以前紹介した『遥かな町へ(Barrio lejano)』だ。
隣国フランスでも高く評価されるこの作品について、スペインの漫画評論家で、編集者や脚本家としても活躍するアントニ・ギラル氏は以下のように評価する。
「現在から過去への旅路は、鮮やかな感覚を引き起こす。登場するキャラクターの感情、臭い、音、そして記憶に内在する全てを鮮明に感じることが出来る」
大都会”東京”で現実を生きる主人公が、ちょっとした切っ掛けから、故郷への旅、そして過去への旅に誘われ、不思議な回想体験をする。それは、悔やむ過去を変えることが出来る千載一遇の機会だったのだが……。
本作品は人間なら誰にでもある過去と故郷と葛藤を読者に再確認させ、深い共感をもたらす。この谷口の普遍的なメッセージは、遥か遠くバルセロナまで届いていた。
<連載第39回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㊴ 谷口ジロー「バルセロナ展」
© Jirō Taniguchi
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