サロン・デル・マンガ スペシャル!
連載「漫画 × バンド・デシネ!」では、2017年に急逝した谷口ジローのバルセロナ展について毎週取り上げている。今回は『冬の動物園(El UN ZOO EN INVIERNO)』を紹介する。
『冬の動物園』について、漫画家のミケル・バオは「1960年代を舞台とし、若者が上京し漫画家を目指すという自叙伝的な作品で、感受性とタレントに富んだ作品」と評している。
主人公は、18歳の若者・浜口。日々、退屈な仕事をこなす現状に嫌気が差して、安泰な生活を捨てて夢である漫画家を目指し上京する。そして何とか、知人のツテで著名漫画家のアシスタントの仕事を見つける。
激務の合間の限られた時間で自らの作品作りにも取り組むが、自信が持てず、ペンが思うように進まない。そんな時浜口は、とある病弱な女の子を紹介され、一緒に病院の外へと出歩くようになる。その際の彼女の言葉や発想に勇気づけられ、再びペンを握る。
彼女への想いも募るが、しかし彼女の病状はどんどん悪化してゆく。勇気づけるべき病気の彼女に、逆に勇気づけられて突き進んでゆく若き漫画家の姿に心を動かされずにはいられない。
<連載第41回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㊶ 谷口ジロー「バルセロナ展」:『父の暦』
©
Jirō Taniguchi
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