“異次元TOKYO” 篠田 利隆 × “魚雷映蔵” 佐野 リヨウタ 対談
好きな人のための文化 オタクカルチャー入門編
秋葉原の現状と今後どうなるかの予想は
篠田:秋葉原カルチャーといえばアニメ・アイドル・女の子の文化・ゲームだと思いますが最近はオリンピックで街がホテルに変わっているので、通常の秋葉原に戻ってほしいですね(笑)自分の願望としては秋葉原からVR空間にログインしたい、秋葉原からデジタルのオタクカルチャーの世界にログインした自分の気持ちをはやく味わいたいと思ってます。
佐野:なるほど。それはある意味で本質的というか、リモートが主流になったこともあって、オタクカルチャーもデジタルで完結するようになってきましたもんね。オンラインとリアルの新しい考え方ですね(笑)
篠田:はい(笑)秋葉原につねにいたいのは、こっち系のカルチャーの仕事をしている身としてファンがどう考えているのかなるべく身近かつ早い速度知りたいと思うからなんです。コンテンツは好きな人たちの為にあるべきだと思う、だから研究をし続けています。
佐野:好きな人のための文化っていうのはまさに共感します。主流ではないけど、クラスの2,3人が集まってこれっていいよねって言ってるから純度が保たれるのであって、その精神はオタクカルチャーの根幹にある気がします。
篠田:そうですね。好きな人をあえて裏切って驚かせるのもひとつやり方としてあります。でも好きな事がちゃんと理解した上でしないと裏切りも面白くないので、こうきたか!と思わせることでファンも広がる可能性があると思います。
佐野:コンテンツ制作の仕事って「半歩先を進む」って感覚が大事だと思ってるんですけど、まさにそういうことですかね。一歩先でもなく、歩幅を合わせるだけでもなく、寄り添いながらも世間のニーズの少しだけ先に行く。篠田さんも、ファンが求めているものだけでなく、新しい気づきを与えることもしているってことですもんね。
篠田:はい。自分の中では私立恵比寿中学のようなアイドルMVでアニメを入れたり、「理系が恋に落ちたので証明してみた。」のオープニングで作画アニメの中にモーショングラフィックの要素を入れたりしています。YOASOBIもですが、その世界や文化が好きな人でも新しいと感じる色んな要素を掛け合わせるのは、探求心からかもしれないです。
佐野:オープニングやエンディングだからこそできますよね。
篠田:そうですね。デザインのアプローチも尺の中でアニメ全体の世界観を見せる色んな役割があるので期待値を上げるには大切な要素です。
佐野:過去にアニメのオープニングを監督されているからこその、篠田さんならではの技法ですね。
篠田:(アニメをつくるにあたり)ここまでくるのもかなり苦労してきました・・。辛辣な事もありましたが最初は知識がなかったりとその都度考えて学びながらやってきています。自分のような別ジャンルから来た人間がやる事で、いい意味で広がりがあればと思ってやり続けています。
佐野:オタクやアニメにリスペクトもあり、好きだから出来ることですよね。
篠田:そうですね。今日も学んだ事もたくさんありました(笑)
佐野:こちらこそです。(笑)
―本日は、本当にありがとうございました。
篠田 利隆 SHINODA TOSHITAKA
異次元TOKYO 映像監督 実写からアニメに3Dまで次元を超えた演出家。
YOASOBI、アイマリン新章、漂流兄弟、宇多田ヒカル、でんぱ組、ももクロ、私立恵比寿中学、REOL、T.M.revolution、竹達 彩菜、Yunomi、TORIEBA、化物語、Fate/GrandOrder、初音ミク、日清、さとう食品、SONYなどを手掛ける。
佐野 リヨウタ SANO RYOTA
アニメプロデューサー。 株式会社魚雷映蔵 代表取締役。
CMなどショートムービー制作に特化したアニメプロダクション「魚雷映蔵」のプロデューサー。
多くのアニメCMの制作を手掛けるほか、京都市交通局「地下鉄に乗るっ」や沖縄県浦添市など、地方自治体のPR事業として、アニメのプロデュースも行う。
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– アニメは実は狭くて深い世界なんです。
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