– 最近のアニメは、アフレコする時に絵が出来上がっていないからタイミングだけでアフレコして、出来上がったものを見たら「こんな表情してたんだ」と声優さんが言うことがありますよね。

財満 – よくありますね。

– それは、読み切れていなかったということですか？

財満 – そういうことではないです。
音響監督がOK出しているので、現場ではそれが正解なんです。ところが、絵がついてきてないんです。
「この口の大きさが……」「あ、そこは後で修正するから大丈夫です」となって、後日観てみたら修正されていない、ということがよくあるんです。
タイミングもズレてることがありますし。

– アプトプロさんならではの強みは何でしょうか？

亀山 – 個別の指導ですね。
人数が少ないので、個々に見ていけます。

これは最初からの方針なんですけど、本当に個々に見ていかないとみんな課題はバラバラなので、それについては自信を持ってやれるところだと思う。
あと、講師陣が良いと思います。

– 財満さんは全員の講師から教われましたか？

財満 – 全員ではないですが、だいたい教わりました。
養成所時代に好き勝手やらせてもらえたというか、個性を全然否定しないと言うか、のびのびさせてもらえるなぁと思いました。

亀山 – 役者は個性しかないので。
それが一番やらなきゃいけないことだと思うし、その人の感性や態度、ずうずうしさとかが前に出てこないと長所は伸びてこないので。
滑舌が悪いとかはずっと言い続けますが、前面に個性が出てくると楽しいなぁと。

– 生徒さんの傾向って、昔と変わったりするんですか？

亀山 – 若くなりましたね。
ウチは年齢の上限設けていないんです。
伸びしろさえ感じれば。
年取って結構上手くていらっしゃる方もいるんですが、そこに伸びしろを感じなければ取れないですね。

財満 – 僕の代では、20歳上の方もいましたしね。
やはり普通に生活していると、同じ目線で喋れないじゃないですか。

それが同じ生徒というか養成所生として居る訳ですから、今までやってきたことなど話を聞いてると、全然知らなかったこともわかるので。
年齢制限が無いというのは交流の幅を広げられるきっかけにもなりました。

– 養成所に通っていて楽しかったことはありますか？

財満 – 楽しかった思い出しかないですね。
目の前のものにがむしゃらにやっていたので、新鮮で面白かったです。
講師の方によってもやり方が全く違いますし。
亀山さんの授業の時は緊張ガチガチでしたから、いつもよりカラ回っていましたね。

亀山 – 実際に収録題材を与えているんです。

財満 – 亀山さんの時、アフレコを実際にやってみようとなった時はガチガチでしたね。
でもそれでも何とか食らいついてやろうと思って、声だけは出そうと思いました。

– 憧れや目標としている役者さんはいますか？

財満 – 黒田崇矢さんですね。
『バディファイト』で一緒になってから仲良くしてもらっているのですが、役者としてというか人間としてすごく尊敬ができるというか、面倒見が良いんですよ。
何より、信念を強く持っていらっしゃって、一本芯がある方です。
僕と喋る時も決して上からじゃないですし、新人のフォローの仕方も素晴らしいです。

ある時、僕以上にガチガチになっていた新人の子がいたんですね。
その子を助けるという意味ではないのかもしれないですけど、収録のド頭に黒田さんが噛んで、「俺は1回噛んだからみんな1回ずつ噛んでいいよ」みたいに言ったりとか。
僕も初めてお会いした時に進んで声をかけてくれましたし、本当にそういう人になりたいですね。

お芝居もオンリーワンだと思うんですよ、声もしかり、一発でわかる。
こういう言い方良くないかもしれないですけど、声優らしい喋り方っていうのがあると思うんです。

– わかります。

財満 – その枠にとらわれていないので「どうしてなんですか」って聞いたら、「型にはめる方が簡単だから」と仰っていて、格好良いなと。
真似することはできないですが、そういったスタンスを自分の中に持てたらいいなと思っています。