サロン・デル・マンガ スペシャル!
連載「漫画 × バンド・デシネ!」では、2017年に急逝した谷口ジローのバルセロナ展について毎週取り上げている。今回紹介する『センセイの鞄(Los años dulces)』は、川上弘美のベストセラー恋愛小説を、2008年に谷口ジローが漫画化した作品だ。
主人公のツキコ(大町月子)は、とある居酒屋の常連だが、そこで偶然にも男性教員の恩師と再会するところからストーリーが展開していく。
30歳の年の差、そして教師と生徒という禁断の関係を越えた男女の交流。谷口は、いい具合に枯れた風貌のセンセイ・松本春綱と、すっかり大人になった元女子生徒・ツキコをリアルに描いている。
同展示では、評論家のアルバロ・ポンズ(バレンシア大学)が「タニグチは現代人の生活の重圧を、異なる視点から解釈する能力がある」と評する。
小説、テレビドラマ、舞台等、様々な角度から『センセイの鞄』は扱われており、そのすべてに触れ、漫画と比較することで、谷口の作画の意味するところがより鮮明に見えてくるに違いない。
<連載第42回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㊷ 谷口ジロー「バルセロナ展」:『冬の動物園』
© Jirō Taniguchi
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