「バンド・デシネ」連載第18回目は、ルネ・ゴシニ(作)、アルベール・ユデルゾ(画)の『アステリックス(Astérix)』について取り上げる。この作品は、『ラッキー・ルーク』にも参画したルネ・ゴシニが古代ローマ時代のガリアを舞台に描いたコメディだ。
カエサルと戦ったガリア人の英雄・ウェルキンゲトリクスを意識した主人公の名前が作品名になっている。部族の誇りをかけて戦い、強大なローマ帝国を苦しめ、その結果として異例の処刑にされた歴史上の偉人をカリカチュア(誇張した人物画法)たっぷりにコミカルに描写。
歴史の勉強にもなる古典をベースに、センス抜群のフランス語のダジャレ、芸術性の高いメタファーが散在しており、ただの笑い話ではない深みが生まれている。気軽な感じで実は厚みのある物語が、幅広い世代に支持されている理由だ。
フレンチジョークのツボを学ぶにはうってつけの作品で、フランス文化やお笑いを極めたい人にはバイブルといっても過言ではない。日本ではまだあまり知られていないだけに、こっそりと読んで友達にうん蓄を語って、優越感に浸ってみるのもいいかもしれない。
<連載第17回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その⑰ ロベール・ヴェルターの『スピルーとファンタジオ』
(C)
René Goscinny, Albert Uderzo, Jean-Yves Ferri, Albert Uderzo, Didier Conrad
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