【スペインで見つけた日本のマンガ】その㊱ 幸村誠の『ヴィンランド・サガ(Vinland Saga)』
15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第36回目は、幸村誠の『ヴィンランド・サガ(Vinland Saga)』について取り上げる。
この物語は、2005年から制作が始まった、北欧を舞台とする歴史作品だ。「ヴィンランド」とは、中世の欧州で略奪の限りを尽くし、恐れられたヴァイキングの実在した入植地だといわれる。ヴァイキングは船を巧みに乗りこなし、1,000年も前に大西洋を渡り、アメリカ大陸と欧州大陸をまたにかけていた驚愕の民だ。
主人公は、その民を率いて遥かかなたのアメリカ大陸にあるヴィンランドに遠征し、入植した歴史上の実在の人物、ソルフィン・ソルザルソンをモデルにしている。
主人公のトルフィンは、現在のアイスランドで生を受け、殺された父親の復讐に燃えながら戦場という日常で育つ。短剣を自在に操る類まれな戦士だが、短気なのが玉に瑕。
余りに多くの人を殺したトルフィンはある時、目が覚めたのかそれとも夢を見てか、幻の大陸を目指して旅路に就く。それは、争いも搾取もなく、万民が平穏に暮らすことの出来る国を創るためだった。
<連載第35回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その㉟ 松井優征の『魔人探偵脳噛ネウロ(Nōgami Neuro)』
COMMENT コメント