15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していく当連載第34回目は、弐瓶勉の『ブラム! (BLAME!)』について取り上げる。
『BLAME!』は、1997年から2003年にかけて制作された長編SFアクションで、遠い未来、コンピューターネットワークに大きく依存した人間社会に綻びが生じ、人類は存亡の危機に立たされる。そして主人公の霧亥(キリイ)は、最後の望みをかけて、正常な「ネット端末遺伝子」を持つ人類を探し続けるというストーリー。
本作品のスケールはただただ圧巻で、弐瓶勉が作り出す世界観には、読んでいて身体全体が吸い込まれていく錯覚を覚える。それが、同氏が鬼才と呼ばれる所以だ。
IoTや人工知能の進歩がどんどん加速する昨今。世の中は便利になるが、テクノロジーというプラットフォームへの依存度が高まると、それはやがて破滅的な結末を生むのかもしれない。
<連載第33回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その㉝ 小池一夫の『子連れ狼』
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