15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第26回目は、藤原ヒロの『会長はメイド様!(Kaichou Wa Maido-Sama)』について取り上げる。
『会長はメイド様!』は、2006年から2013年まで連載された少女マンガで、テレビアニメにもなった作品。外面は強気の生徒会長の主人公・鮎沢美咲だが、貧しい家庭を支えるために、放課後にメイドカフェ「メイド・ラテ」でバイトをしているだが、その姿を星華高校一のイケメンで秀才の碓氷拓海に目撃されてしまう。
普段の制服とあまりに違う萌え系コスプレ姿。強がる姿とその背景にある努力は、ちょっと可笑しく、それでいて心を打つ独特の感情があいまみえる。
労働することができない中学生の妹は懸賞への応募で家計を助けており、姉としては仕事を辞めるわけにもいかない。そんなけなげな会長の姿に、幾多の女子が突撃しても落とすことが出来なかった碓氷のクールな心が少しずつ溶解していく。
日本のカワイイ文化の象徴であるメイドのコスプレや学園、そして淡い恋愛。スペイン人が羨望する日本の縮図がそこにはある。
<連載第25回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その㉕ ONEの『モブサイコ100』
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