15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第24回目は、咲坂伊緒の『アオハライド (AOHA RIDE)』について取り上げる。
『アオハライド』は2011年から2015年にかけて連載され、TVアニメや実写映画化も果たし、人気を博した。
タイトルのアオハとは「アオハル(青春)」のこと。まさに青春期の繊細な少年・少女の気持ちや恋愛を妙絶なタッチで描いている。
人間は記憶情報が白紙の状態で生まれ、数々の経験を経て、人格が形成されてゆく。そして時には傷つき、トラウマをかかえ、性格をも変えてしまう。
子供から大人への脱皮時期、幼虫がサナギから出てきたばかりのような、非常にスキンが柔らかく傷つきやすく、羽も伸び切っていない状態の男女が出会い、そして再会。初々しく、恋愛もまだ不器用で、すれ違いや心の交流の様子を描く。
感情に正直で、物事をストレートに表現して生きているラテン系のスペイン人にとってはまるで別世界の、触ったら解けてしまう雪のような人間関係や恋愛は、特別なものとして映っているに違いない。
<連載第23回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その㉓ 芹沢直樹の『バイオハザード』
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