サロン・デル・マンガ スペシャル!
11月初旬にスペイン・バルセロナで開催された日本の漫画やアニメの祭典「バルセロナ・サロン・デル・マンガ(23 Saló del Manga de Barcelona)」では、日本のアニメ生誕100年を記念し、その歴史を紐解く展示が行われた。今回は、田河水泡原作漫画の『のらくろ(Norakuro)』を紹介する。
『のらくろ』は「少年倶楽部」にて1931年(昭和6年)から連載が始まり、TVアニメは1933年に『のらくろ二等兵』、そして1934年には『のらくろ伍長』が製作された。同展示では、この作品を「Norakuroから漫画とアニメの近い関係が始まった」と位置付けている。
現在でも広く知られていることから、こんなにも起源が古い作品とは想像もしなかった人も多いだろう。当時の時勢を反映した陸軍の「猛犬連隊」が舞台だが、そのストーリーは当時の軍国主義とは一線を画するようなのほほんとしたコメディタッチの内容だ。
主人公のらくろ(野良犬黒吉)のキャラクターは実に愛嬌溢れ、根強い人気がある。犬の兵隊たちが祝日に兵舎を出て休暇に行く際に、二足歩行から突如四足歩行になるところが印象的だ。軍人と言う責務から放たれ、本当の自分になる瞬間だ。
建前のところどころに垣間見られる、意志とは無関係に徴兵された一般人たちの本音がこぼれるような内容が、大衆の心を掴んだのだろう。人間の核心に迫った『のらくろ』だからこそ、その支持は今日にまで続いている。
「バルセロナ・サロン・デル・マンガ」の現地リポート、次回も乞うご期待!
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