「バンド・デシネ」連載第32回目は、ジャン・タバリーの『イズノグード(Iznogoud)』について取り上げる。
『イズノグード』は1962年に制作が始まり、アニメや実写映画化もされた作品。明白な時代設定はないが、舞台は昔のバグダッドの物語となっている。
主人公は、カリフに次ぐ権力ナンバー・ツーの大宰相であるイズノグード(あまり聞かない名前で、由来はアラビア語かフランス語かと想像するが…)。実は、英語の「He’s no good」を仏語で発音した際のHがとれたものだ。ネーミングからして、コメディ色が丸出しだ。
作中では頻繁に、「素晴らしき(グッドな)イズノグード」と呼ばれているので、その矛盾な響きがまるで『天才バカボン』の様だ。
作品には死刑執行人や魔法使いなど、強烈なキャラクターが続々登場する。忠実な召使いのワトアラーフは、上半身ほぼ裸で過ごし、太鼓っぱらでひげが生えており、吉田竜夫の『ハクション大魔王』をほうふつとさせるのは、気のせいだろうか。
同じくアラビアを舞台にストーリーが展開するディズニーの『アラジン』とも絵的に、ダブる気もする。
<連載第31回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㉛ デュパの『クビトゥス』
https://www.akibasgate.com/comic/12105
©
René Goscinny, Jean Tabary
COMMENT コメント