「バンド・デシネ」連載第3回目は、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』について取り上げる。
ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、ジョジョ第4部の主要キャラクターである岸辺露伴が主人公に据えられている。17歳の露伴が祖母のアパートに下宿中に、離婚調停中の美女に出会うが、やがて彼女は姿を消す。
作者の荒木飛呂彦は、独特の緻密なイラストが特徴で、ミケランジェロ等のルネサンス美術やバンド・デジネの影響が見受けられる。同作品で描写される、この世で最も黒く最も邪悪な絵も、世界で最も美しいレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』と対極にある、という着想だ。
フルカラーの作品に挑むに当たり、通常の配色では読者が読み続けていくうちに疲れてしまうと考えた荒木は、エンキ・ビラルやニコラ・ド・クレシー、マルク=アントワーヌ・マチュー等、バンド・デジネ作家の色彩をつぶさに観察し、色使いを工夫した。つまり、荒木作品の中でも、バンド・デジネ色が一層強いものといえる。
また、作者の荒木曰く、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』登場人物の設定は、ジョジョ用に描いているものとはちょっと違うという。展示を観て色使いやキャラの違いに気づいたジョジョファンは、ぜひ周囲にうん蓄を語って欲しい。
<連載第2回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その② 谷口ジローの『千年の翼、百年の夢』
(C) Louvre
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