「バンド・デシネ」連載第38回目は、ジョン・グラトンの『ミシェル・ヴァイヨン(Michel Vaillant)』について取り上げる。
『ミシェル・ヴァイヨン』は1957年から制作が始まった漫画作品で、主人公はF1など数々のモータースポーツで活躍するレーサーであるミシェル・ヴァイヨン。ヴァイヨン家は、運送業から自動車製造に進出しF1参戦に至った経緯を持つ一家で、ミシェルの6歳年上の兄ジャン・ピエールもレーサー出身で整備を担当し、監督は父のアンリと、家族経営のチームとなっている。
実際のレース界の背景をしっかりと反映しており、実在のレーサーも登場する。イラストもリアルでディテールが高い精度で描かれており、作者の取材能力や制作の腕前はさすがの一言。
ミシェルはオートバイ、サッカー、柔道、スキーまで幅広くプレーする。同じく兄弟レーサーで、名前が同じ語源のミハエル・シューマッハの登場を予言するような内容でもありゾッとする。
ちなみにシューマッハはバイクレースも得意で、サッカーのオールスター戦の常連であったり、スキー好きでもある。6歳年下のラルフ・シューマッハも同じく著名なF1ドライバーだ。
命をかけて技量と度胸を競い合う世界。そこには本物のドラマがある。
<連載第37回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㊲ ロジェ・ルルーの『ヨーコ・ツノ』
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Jean Graton
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