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KATARI独奏会「聖域-sanctuary-」開催直前!
神尾晋一郎×間宮丈裕(ゆよゆっぺ)
AKIBA’s GATE独占ロングインタビュー

KATARI 第一集『開架』 楽曲の魅力に迫る

── KATARI 第一集『開架』への、ファンの皆さんや周りの方からの反響はいかがですか?

神尾晋一郎:ありがたいことに、ファンの方で聞いてくれている方が多いです。僕の周りで言うと、同業の声優さんとか、番組のディレクターさんとか、仕事場で会う方にファンが多いです。曲がちゃんとかっこいいので、題材となっている文学作品を知らない方でも楽しめますし、文学作品を知っている方は、より考察ができるというお声をいただきますね。

間宮丈裕: 僕は反響という反響があんまりないです(笑)というのも、相当新しいことをしているから、僕も含めて、お互いにどう形容していいか、どう評価していいかわかりにくいんですよね。だからあまり話が広がらなくて、「いいね~」で済んじゃっている感じですね。
僕のお父さんとお母さんは、「神尾さんいい声だね」って絶賛していました(笑)

神尾晋一郎:それが一番嬉しいね(笑)

── タイトルの「開架」はどのようなコンセプトで決められたのでしょうか?

神尾晋一郎:タイトルは僕が決めていて、図書館用語から「開架※」という単語を選びました。
KATARIの楽曲を、好きなように選んで、楽しんでもらいたいという思いがあったので、開架という単語の意味にあやかって、「KATARIの書架を自由に楽しんでもらおう」というコンセプトです。

※引用:開架・・・図書館内で利用者が自由に資料を手に取れる状態のことをいう。(https://cloud-app-support.fjas.fujitsu.com/libwords/682.html

── KATARI 第一集『開架』に収録されている楽曲は、それぞれの文学作品が持つ世界観が表現された、素晴らしい楽曲だと思います。収録曲順に楽曲制作時のエピソードを教えてください。

1. 朔に(はじめに)【KATARI MV】朔に【神尾晋一郎/間宮丈裕】

神尾晋一郎:「朔に」は、唯一作詞家さんがいる作品で、「雨ニモマケズ」「暁と夕の詩」「山羊の歌」を順に作った後、4つ目に出来上がった曲です。まず、KATARIっていうのを説明しないといけないな、ということで制作を始めました。

間宮丈裕:「朔に」だけ、僕と神尾さんが別で収録していますね。

神尾晋一郎:自宅で朗読を録音したんですが、「音質悪くてもプツプツ感があって逆にいいね」ってなりました。

2. 山羊の歌 / 中原中也【KATARI MV】山羊の歌/中原中也 【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:この曲は3曲目だったので、いろいろ試して普通の歌じゃできないことをしたいと思って、朗読だからこそできることって何だろうと考えた時に、老けることだとか若返ることだとかを、その場の思い付きで録りました。
なので、最初詠んだ時はやっていなくて、2回目からゆっぺくんに何も言わずにやってみたんです。

間宮丈裕:当時、「ほんとだ!若返ってる!」みたいに驚きましたね。

3. 夢と現実 / 与謝野晶子【KATARI MV】夢と現実/与謝野晶子【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:与謝野晶子さんは、特に有名な作家さんだと思うんですが、普段は着目されない部分も拾いたいなと思って。作家さんの人生の一部を切り取った曲になればいいなあ、みたいなイメージで作っています。

間宮丈裕:神尾さんから、与謝野さんの生い立ちを聞いて「そうだったんだ!」って驚きましたね。女性らしさとパワフルなイメージを盛り込みました。

4. HUMAN LOST.かくめい / 太宰治【KATARI MV】HUMAN LOST・かくめい/太宰治【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:この曲も、やっぱり太宰治さんの人生を切り取った曲にしたくて、入院中の実体験が描かれている作品で、日記形式で展開される「HUMAN LOST」という詩を選びました。「そろそろぶちかまそうぜ!」みたいなノリで、精神を揺さ振る曲にしたいなと思った結果、トラップミュージックになりましたね。

間宮丈裕:神尾さんから、太宰さんの生い立ちや人柄を聞いていく中で、僕が好きなトラックだったり、好きなアーティストのニュアンスだったりが、めちゃめちゃマッチするなと思うようになって。昔から、メタルやハードコアが好きで、トラップもドープなトラックの方が好きなんですけど、話を聞けば聞くほどそっちに寄っていって。「いけるいける!ノイズのっけまくろう!」みたいな、いいバイブスでガンガン作っていきましたね。

神尾晋一郎:そうそう。音を歪ませよう、歪ませようってどんどんやっていって、すごく良い曲に仕上がったなって思います。

5. 暁と夕の詩 / 立原道造【KATARI MV】暁と夕の詩/立原道造【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:2番目に作った曲なんですけど、僕が「暁と夕の詩」をやりたかったっていうのと、しっかり物語を構成して、ストーリー性が違う詩を、組み合わせて描写しようと思い始めて作った曲です。なので、この曲で初めて詩の編纂作業が生まれているんですよね。

間宮丈裕:やっぱり編纂が入ったのが初めてだったので、朗読部分とフックの部分の尺合わせを、どうして行けばいいかいまいちわかっていなくて。どこにフックを置いて、朗読の尺はこれくらいで良くてみたいな基盤が、この曲を作っていく中で完成できたなって思います。

神尾晋一郎:さらには、曲を作っていくにあたって、こういう展開もいいなっていう発想をするようになったのも、この曲が基礎になっていますね。

6. 死の淵より / 高見順【KATARI MV】死の淵より / 高見順【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:この曲関しては、僕が「HUMAN LOST・かくめい」とは、違うベクトルでやばい曲にしたいと思っていたんです。映画の始まりみたいな雰囲気にしたいと思って、曲の始まりが足音に決まりました。

間宮丈裕:トラック側の視点で言うと、できるだけ「生っぽいサウンド」を目指しています。「HUMAN LOST・かくめい」のような仰々しさのない、ちょっと静かな怖さっていう要素を入れつつ、絶対に普段の曲作りではやらないギャップを取り入れています。

神尾晋一郎:すでに出来上がっていた状態だったのに、追加でメロディをつけてもらったりもしたよね。

間宮丈裕:そうそう。めちゃめちゃ良い詩で曲が出来上がったなと思っていたところから突然(笑)でも、自分だけで楽曲を作っていたらやらないことを、朗読っていう新しいエッセンスが加わることによって、いい曲にまとまるっていう事を発見した曲でした。

神尾晋一郎: MVも併せると、ある意味「劇場版 KATARI」みたいな、すごく素敵な作品になったなと思いますね。

7. 雨ニモマケズ / 宮澤賢治【KATARI MV】雨ニモマケズ / 宮澤賢治【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎: 「雨ニモマケズ」は処女作として、「試しに作ってみようぜ!」っていうその場のバイブスで作ったので、一番尺が短いんですよ。当時は尺なんて気にしてないですもんね。

間宮丈裕:「雨ニモマケズ」はフックとか朗読っていう概念を、あまり考えられていない状態で作っていたので、詩の中の「雨ニモマケズ~」ってところが、とりあえずサビだろうみたいな感じで、こういう尺だろうっていうノリで作っていますね。

神尾晋一郎: 月に1度、曲をリリースするという流れを組んだ時に、ルールとして作者の誕生日か、死没日にリリースしようと決めました。そうしたら、なんと「雨ニモマケズ」は完成から7ヶ月後に公開することに決まって。でも、色々な曲が出来上がっている中で、改めて「雨ニモマケズ」を聴くと、初めに作った曲とはいえ良い曲に仕上がっているなって思いますね。

間宮丈裕:まだ、何もわからない初々しさが、すごく「雨ニモマケズ」に合っているなって思います。

神尾晋一郎:お互いにありますもんね、詠み方にしても歌い方にしても。ライブでやると、同じBPM、同じセリフなのに、ゆっくり読めますもん。

8. 秋の瞳 / 八木重吉【KATARI MV】秋の瞳 / 八木重吉【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎: 秋の瞳ですね、これは僕好きですね。

間宮丈裕:これは僕も大好きです(笑)

神尾晋一郎: 八木重吉さんが、クリスチャン詩人っていうのもあって、ゆっぺさんに「KATARI的チャーチソングをお願いします」と言ったらこの曲ができました。

間宮丈裕:曲調の方向性も、純粋な讃美歌・聖歌っていう感じではなく、いわゆる映画「天使にラブ・ソングを…」のような、ゴスペルのニュアンスを基盤に、チャーチを感じられるトラックに頑張って仕上げました。めっちゃ楽しかったですね。

9. 邪宗門 / 北原白秋【KATARI MV】邪宗門 / 北原白秋【神尾晋一郎 / 間宮丈裕】

神尾晋一郎:邪宗門って、原作を読んでも分かりにくいので、子どもの頃に詩に触れていたとしても「なんだこれ?」みたいに、みんな苦手に思っただろうなあって感じていて。邪宗門を歌にすることで、そういった伝わり方が変わるんじゃないかな、っていう思いで題材に決めました。

間宮丈裕:表現の仕方がかなり難しかったですね。詩を読んでみて、無骨なすごく堅い文だなって思って。

神尾晋一郎:めちゃめちゃ堅くて重い文ですね。

間宮丈裕:僕って普段の曲作りでは、割と音を重ねがちなんですけど、堅くて重いものはシンプルであるべきだって思って、シンプルなトラックに仕上げようと努力したんです。この曲を作ることで、そういうシンプルなモノのかっこよさっていうのに、気が付けたなっていうように思いますね。

神尾晋一郎:構成として、邪宗門の中の、「解纜」「微笑」「空に真っ赤な」があるんですけど、一つずつ単体で見たら、「どうしてこの詩が繋がるの?」っていうように思われるかもしれないんですど、自分の中で、詩を映像化して場面を繋げて編纂しました。難しかったんですが、トラックも歌も良い曲に仕上がったなと思っています。

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