「バンド・デシネ」連載第15回目は、作:フアン・ディアス・カナレス、画:フアンホ・ガルニドの『ブラックサッド(Blacksad)』について取り上げる。
作者は共にスペインの出身だが、フランスの出版社ダーゴーから発表され、複数の賞を受賞し成功を収めている。『影のどこかに (Quelque part entres les ombres)』、 『極北の国 (Arctic Nation)』、 『赤い魂 (Âme rouge)』、 『地獄と沈黙 (L’Enfer, le silence)』、 『アマリロ (Amarillo)』の5巻からなり、このシリーズにはまだ続きがある。
『タイガーマスク』の様に、頭部は動物で体型は人間の姿をした私立探偵をはじめ、擬人化された動物キャラクターたちが、アメリカを舞台に繰り広げるサスペンス劇。ヒトラーの様なよく知られる人物が動物として登場するところが見ものだ。警官に犬のジャーマン・シェパードを起用するのも役柄がぴったり合っている。
繊細なペンと水彩のシックな色づかいで描写される1950年代のハードボイルドなストーリー展開は、何とも味わい深い。このマンガを酒の肴にバーボンウィスキーをストレートで飲みたくなるような雰囲気を作り出している。フランス市場向けにスペイン人が描いたアメリカの物語だけに、この作品は、一癖も二癖もありそうだ。
<連載第14回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その⑭ エンキ・ビラルの『ニコポル三部作』
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