「バンド・デシネ」連載第11回目は、『タンタンの冒険』について取り上げる。
作者は、ベルギー出身のバンド・デシネ作家のエルジェ(本名:ジョルジュ・レミ)で、この作品は100以上の言語に翻訳され、世界中で2億3千万冊以上発行し、アニメ化もされている。
登場するキャラクターは、有名人や歴史上の人物、作者の身近な人をモデルにしており、エルジェ本人もこっそりと登場している。描かれるキャラクターに男性が多いのも特徴だ。
主人公のタンタンはエルジェの弟・ポールをモデルにしており、14歳から17歳くらいの正義感が強い記者、という設定。記者としてはかなり若いが、その突撃していく精神が半端じゃない。お酒と骨に目がない相棒の犬・スノーウィと世界を冒険し、様々な事件に首を突っ込み、時には巻き込まれ、道中で身柄を拘束されることもある。
タンタンは、ベルギーのブリュッセルに住んでいることになっている。物語の中では、海外の実在する国に混ざって架空の国々も出てくるのだが、なんとなく本当にあるかのような雰囲気があり、どこの国かと想像力を刺激される。私たちの実体験としても、時折聞いたこともない名前の国を発見することがあるが、そういった体験を全ての読者に提供している。私たちの日常生活とはかけ離れた大冒険と、素朴なイラストは色あせることなく、大人から子供まで幅広く魅了する。
<連載第10回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その⑩ モーリスの『ラッキー・ルーク』
(C) Hergé
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