15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第32回目は、葉月抹茶の『一週間フレンズ。(One Week Friends)』について取り上げる。
『一週間フレンズ。』は2011年から連載が始まり、TVアニメにもなった青春恋愛作品で、主人公の長谷祐樹は、クラスで孤独な存在の藤宮香織と仲良くなろうとするも「1週間で友達との記憶が無くなる」という理由から拒否される。
親しくなりたいが、友達になる頃には忘れられてしまう。その矛盾ともいえる状況にも、長谷は諦めずに心を通わせる努力を続ける。
青春時代の男女の微妙な距離感とすれ違いーーそんな繊細な抒情詩をさらに淡くさせるのがこの作品のシチュエーションだ。
ずっと距離を保ってやり過ごすのか、それとも一週間だけでもいいから友達になるのか。自分自身がその状態に置かれたらどうするか。そう考えながら読み進めると、登場人物の葛藤が生々しく伝わってくる。
アニメ『一週間フレンズ。』
<連載第31回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その㉛ あだちとかの『ノラガミ』
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