皆さんは「バンド・デシネ」という言葉をご存知だろうか。フランス語圏のマンガファンならば耳馴染みがあるだろうが、日本の漫画愛好家にはピンと来ないかもしれない。この言葉は、ベルギー・フランス圏発の独特なマンガのことであり、バンデシネとも呼ばれている。
日本の大都市をめぐり今後、名古屋と福岡でも予定されているルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」にも参加アーティストとして名を連ねていた漫画家の谷口ジロー氏が2月11日、69歳の若さで急逝した。
谷口氏は多様な作品を手がけ、日本のみならず、フランス語圏を中心に欧州でも高く評価されていた。彼は生前、ジャン・ジロー(メビウスのペンネームで知られるフランスの漫画家)などのバンド・デシネ作品の影響を、日本で最も受けていると断言していた。
フランスといえば、世界最多の年間8,300万人の海外旅行者が訪れ、クリエイターを含め誰もが憧れる国である。その首都・パリの目玉ともいえ、毎年800万人以上の入場者数を誇るルーヴル美術館が、遥か日本にまで赴いて長期間に渡り開催するこの壮大な企画とは一体ナニモノなのか。
漫画は子どもの暇つぶし程度にしか思わない人もいるが、フランスではマンガは”現代アート”と位置付けられ、立派な芸術作品だ。そうでなければ、国立美術館がモナリザやミロのヴィーナスと並べて扱えるわけがないのだ。
谷口ジロー氏に哀悼の意を表すると同時に、このことを切っ掛けとして、世界の芸術の都が生んだバンド・デシネと日本のマンガについて、今後も追い続けていきたい。
(C) Louvre
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