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音楽業界発の公式チケットトレードリセールサービス「チケトレ」6月1日スタート 2.5次元ミュージカルも対象

石破茂衆議院議員が会長を務めるライブ・エンタテインメント議員連盟による、チケット高額転売とネットダフ屋行為の抑止に向けた取り組みの会合が、4月21日(金)に衆議院第二議員会館にて実施された。
主な出席者は、石破茂会長、山口一郎氏(サカナクション)、松田誠氏(一般社団法人 日本2.5 次元ミュージカル協会 代表理事)、中西健夫 氏(一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会 会長)、中井秀範 氏(一般社団法人 日本音楽事業者協会 専務理事)、野村達矢 氏(一般社団法人 日本音楽制作者連盟 理事)、石川篤氏(コンサートプロモーターズ協会 総務委員)。

昨今、コンサートのみならず演劇やスポーツ、大相撲などの入場チケットが、コンピュータソフトを悪用した大量購入と、インターネット上の転売サービスを介して不当な高額で転売され、消費者から搾取し、利便性を著しく損なう状況が深刻化している。もちろん、アニメ・声優系のライブ・コンサート・イベントや、テニミュや刀ミュなどの2.5次元ミュージカルなどの公演においても、以前からこの問題は声高に叫ばれていた。当編集部としてもこの問題は深刻なものととらえているため、今回の会合の模様を取材し、ここに記す。

サカナクション・山口氏の冒頭挨拶は以下の通り。

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「僕たちは今年でバンドを結成して10年経つのですけど、常々感じるのは、やはりミュージシャンとして一番大事なのは、支えてくださっているファンの皆さまです。そのファンの皆さまが、このチケット転売問題について一番被害を受けています。
僕らは普段、チケットの値段を設定する際には演出であったり、細かいことを踏まえて価格を決めているのにも関わらず、その価格の何倍もの価格で転売されて、音楽文化に関わっていない人たちがそこで利益を得ています。そして、ファンはその高くなったチケットを手に入れるために、一生懸命アルバイトして貯めたお金であったり、そういったものを無駄に支払って音楽文化を体験していることになってしまっています。
それはミュージシャンとして許せないですし、健全なファンの方たちが健全に文化に触れる状況を取り戻したいと強く思っています。
そうするためには、僕はいちミュージシャンなので、できることはこうして言葉を発することだけですが、 皆さまのお力添えでなんとかファンの皆さまを救っていただけたらと思います」

出席者の挨拶が終わった後に、まずは「高額転売の蔓延、拡大するリスク」として、高額転売を巡る現状が報告された。主な点は以下の4つ。

1. 転売サイトが一般化し、PCやスマホから誰でもネットダフ屋行為が可能に
2. ボット(チケット大量購入用のコンピュータソフト)悪用による、買い占めと価格吊り上げ
3. ネット上のダフ屋行為は法的規制がない脱法状態
4. コンサート以外への高額転売の拡大(広島カープ、大相撲、宝塚、ブルートレイン ほか)

 

また、「転売問題のリスク」として、

・ネットダフ屋によるユーザー搾取の固定化(ほかのコンサートへの参加機会、関連消費が減少)
・チケット高騰による若年層への悪影響
(市場からの退場、違法ビジネスへの接近、ファンのダフ屋化など)
・転売対策(顔認証、本人確認等)コストの増大/ネットダフ屋の納税回避
・転売市場の巨大化(現在の市場は600億円規模と見られ、拡大傾向)
・東京オリンピック・パラリンピックのチケットもネットダフ屋の標的に

 

といったものを挙げた。

そして、本日の出席者でもある山口氏が所属するグループ・サカナクションのチケット転売状況が例に挙げられた。 転売事例の取得元として、2017年4月13日時点でのチケットキャンプの転売状況を示したものを出席者に配布。出品は500件以上、累計取引数は約16000件となっており、この資料を沈痛な面持ちで山口氏が読み込んでいた。

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こういったチケット高額転売問題の深刻な状況を踏まえ、コンサートプロモーターズ協会は、購入チケットをファン同士でやりとりできるサービス「チケトレ」を用意する。ライブやコンサートだけに限らず、2.5次元ミュージカルや演劇、お笑いライブなども含んだ幅広いジャンルに対応する予定。稼働当初は、コンサートプロモーターズ協会・日本音楽事業者協会・音楽制作者連盟・日本2.5次元ミュージカル協会に加盟する法人が取り扱うイベントが中心となる見込み。

以下は、コンサートプロモーターズ協会による「チケトレ」の説明を抜粋したものだ。

1. 概要
チケットを購入したイベントに参加できなくなったファンと、
参加を希望するがチケット未入手のファンをマッチングするサービス。

 

2. 開業日
2017年6月1日

 

3. 取り扱い範囲
(1) 日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本2.5次元ミュージカル協会、
コンサートプロモーターズ協会に加盟する法人が取扱うイベントのチケットを
中心とする。
(2) すでに発券された紙のチケット
(発券前チケット、電子チケットにも今後順次扱い範囲を拡大していく予定)

 

4. サービス運営
ぴあ株式会社
※大手プレイガイドでは唯一の二次流通「定価リセール」を3年間運営実績あり。

 

5. 特徴
(1) 安心安全な会員制:公的身分証の画像登録を行う厳密な個人認証
(2) 出品チケットは画像アップロードを義務付け
(3) 安心決済:チケット代金は、一旦チケトレ事務局が預かり、
出品者への支払いはイベントを鑑賞した後。
チケット偽造や、不送付トラブルを抑止。

 

また、会合終了後に行われた囲み取材での、サカナクション・山口氏の受け答えは以下の通り。

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Q:こうした取り組みがスタートしたが、改めてどういう気持ちか?
A:「僕らミュージシャンとしては、公演を行う際にこういった問題は常に直面しているし、ファンの声も直接聞く一番近い立場にいるので、ようやく第一歩を踏み出せたことはミュージシャンとしてすごく良かったなと思います。
純粋に音楽が好きな人たちはたくさんいらっしゃるのですが、10代の若い子たちがチケット転売問題の一番の被害者になっています。10代の子たちが3万円も4万円もお金を出してチケットを購入してライブに来てただいています。僕らはエンタテインメントを提供する側として、自分たちが行なっていることは果たして良いことなのか……ライブを行う事自体、自分にとってどういうことなのか見失ってしまいそうになります。モラルとして訴えるしかない現状を、法規制としてなんとか形をつくっていきたいです。 そうすることで、音楽という文化を守っていけますし、一番大事なのはファンの方たちを守っていける、そういった形をいち早く作っていく第一歩になったのじゃないかなと思います」

 

最後に、記者が会合に参加させていただいて、実際に感じたことを記してみる。
現在の日本では法整備が整っていないことからもわかるように、国会議員側に「チケットの高額転売問題」というものがまだまだ認識されていないように思われた。
チケットの転売件数や、転売金額などが読み上げられる度に驚きの声が漏れ、また、アニメや漫画愛好者としてはもはや定着している”2.5次元ミュージカル”について説明がされた際も「へぇ」といった、”2.5次元”文化を初めて聞いたような反応も見て取れた。

ただし、音楽業界が転売NOを強く訴えたのは昨年のことであるし、2.5次元文化は最近定着されてきたものであるため、そういったことが議員側に伝わっていないのは致し方ない。今回の会合で、現在音楽業界などが抱えている問題を共有できたことによって、民事ではなく刑事事件としても扱えるような法律を整え、健全なエンタテインメントビジネスの実現を目指していただけるよう強く願う。

COMMENT コメント

  1. とと 2017/05/10 7:56 AM

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    1階席と2階席、いい席と悪い席が同じ値段なのも転売に拍車をかけていると思います。

  2. 全部じゃないのね 2017/06/07 7:57 PM

    SNS SELECT

    AKBのチケットは出品したらAKBグループのアカウントを停止すると言われました。

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