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次世代ビジュアルアートの旗手
コンセプトアーティスト よー清水インタビュー

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ゲーム・書籍・広告と、幅広い分野でアートワークを手がける気鋭の若きアーティストがいる。2016年に初の著書も出版した、よー清水だ。2017年にはAdobe Creative Cloudの公式宣伝イラストを制作し、ゲーム『甲鉄城のカバネリ』のイメージボードとコンセプトアートを担当する彼に、スポットを当てる。

「もっと年上だと思っていた、ってよく言われるんです」と、恥ずかしそうに笑った青年は若干24歳。忙しい日々に追われつつも、数多くの「世界」を創造してゆく。本インタビューでは作品の制作プロセスだけではなく、その人物像にも迫った。第一線で活躍するよー清水の”今”をひもといてみよう。

 

■あいまいな言葉を「かたち」に

――”コンセプトアート”とは何なのか、具体的に知らない方も多いと思います。改めてそこから教えていただけますか? それと、コンセプトアートは、どのように使われるのでしょうか。

いわゆるコンセプトアートというと、壮大な感じをイメージされる方が多いですが、実際はそうではなくて、(コンセプトアートには)とくに形はなく、例えばスケッチでも良いんです。あいまいなアイディアとか、考えとかをかたちに起こせば、それがもう”コンセプトアート”って感じで。用途としては、それ見てほかの方が(細部の)設定を考えたり、宣伝広告用に使われたりと、様々です。そのなかでも、(関係者全員で)「開発のイメージを共有する」という意味が大きいと思います。

――絵の内容に関して、細かなリクエストがあり、それをビジュアルに起こしていく仕事、というイメージを持っていたのですが、そうではないのですね。

それはイラストレーターとしての仕事ですね。コンセプトアートはそこが違うと思うんです。どちらかというと、最初のところのアイディアを提案したりとか、追加したりとか、ですね。

――先生が制作に参加されたゲーム『甲鉄城のカバネリ』のコンセプトアートも、SNSを中心に大きな反響を呼びましたね。同作に関してはゲームのみならず、新作アニメ(2018年公開予定)の制作にも携わると伺いました。こちらでも、アイディアを提案していらっしゃるのでしょうか。

『甲鉄城のカバネリ』に関しては、監督の荒木さんが僕の絵を見てくださって、それがきっかけで最初にお仕事をいただいたのですが、その時に描いた絵がとても好評だったそうです。そこから色々描かせてもらっているうちに、やれることが増えていきました。風景だけではなく、カバネのデザインを提案したり、ゲーム内で使われるアニメに関しては、絵コンテみたいなものも描いています。

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■デザインは組み合わせです

――制作環境についてお伺いします。液晶タブレット(※注釈)もお持ちのようですが、ペンタブレットをメインに使っているのですね。

液晶タブレットって、描いて、集中してくると、知らず知らずのうちに (顔が画面に)近づいてきませんか? そうすると視界が狭まってしまうんです。背景は、絵全体の雰囲気が大事なので、僕はペンタブレットを使っています。
制作の際は、まずパッと見た時に全体が魅力的になるように、イメージを練ります。その後、細部について、どうしたらわくわくするものになるか考えています。どんなに細部が良くても全体がカッコよくないと、良い絵にならないと思っているので。

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――作品を描く上での資料などは、どこで集めているんですか?

自分で(写真を)撮りに行くこともあります。現代っぽい企画の場合は、現代の風景をモデルにするのが一番良いと思っています。もちろん、撮ってきた風景をそのまま描くわけではないので、そこからどういう風にデザインするかを考えていきます。

――逆に、現実から離れたもの、ファンタジーやSFの世界観は、どのようにイメージされているのでしょうか。

離れたと言っても、やっぱり現実が全てベースになっているんですよ。もちろん映画とかも参考にするんですけど、身の回りによくあるものとかを参考にすることが多いです。

――では、それらの要素を組み合わせてゆく?

そうですね。デザインは組み合わせだと思っています。すぐにイメージが浮かぶときはそれを採用することが多いですが、浮かばないときとかパターンが必要なときには、マインドマップを利用することも多いです。

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■根性がないんですよ(笑)

――昨年出版された『「ファンタジー背景」描き方教室 Photoshopで描く! 心を揺さぶる風景の秘訣』を拝読しました。メイキングとあわせて紹介されている制作時間の速さにとても驚いたのですが、その辺は普段から意識されていますか?

はい。僕、根性がないんですよ(笑)。根性がないから、さっさと終わらせたい。できるだけ面倒なところは避けたい。そこで、どうすれば前より速く、クオリティ高く描けるかっていうのは、いろいろ試したりしています。最近、契約書類とかを書くのが面倒で、「どうやったら面倒なことを楽しくできるか」って考えて、羽ペンを購入したりとか……。それと、シーリングスタンプも作ったんですよ。オーダーメイドで、デザインも僕が手がけて。

――おしゃれで素敵ですね! こういうものも、制作のアイディアになりそうです。

羽ペンとか、ファンタジーっぽいやつは、意外と役に立つことがあります。あとはガジェットとかも好きで、いろいろ買ってます。

――先生のイラストでは、ファンタジーやスチームパンクなど、様々な世界が描かれていますが、多彩なアイディアはどこからわいてくるのでしょうか。

趣味というか、好きなものが多いんですよ、僕。スターウォーズや指輪物語も好きだし、アニメも好きだし、ゲームも好きだし。映画も、『第9地区』のようなハードなものから、ディズニーまで、色々な作品を観ています。だから描けるものが多いんだと思いますね。
それと、1か月に1回くらい、やたらと活字を読みたくなる時があります。小説ですと『星を継ぐもの』や、『天冥の標』などのSFが好きで、あとは『ハリーポッター』とかを好んで読んでいます。

――趣味としての活動のなかから影響を受けているんですね。他の作家には影響を受けたりしないのですか?

まずは男鹿和雄さん、クレイグ・マリンズさん、最近だと、シド・ミードさんとか。この3名は間違いなく影響されています。でもそれだけじゃなくて、Twitterで流れてきたものにも影響されたりとか。見たものすべてに影響されます。ありすぎて困るくらい。

――それが引き出しの多さにつながっているんですね。納得がいきました。

色々なことに影響を受けるのは、悪いことではないと思っているので。

――「オリジナリティを獲得するために、まずは真似ることが大切」と語るクリエイターも多いですよね。沢山の作品から影響を受けることで、先生の世界観が構築されていったのだなと感じました。

実際、そうだと思います。

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■今度、ハッカソンに参加します

――ちなみに、もし、絵描きにならなかったら、どういうお仕事をなさっていたと思いますか?

そうですね……わりとひどいオタクになってそう(笑)。あ、エンジニア系になってたかもしれないです。そういえば、エンジニア系の方とやたらとウマがあって、今度ハッカソンに参加するんです。

――それは、どのような経緯で?

切っ掛けは「ペンタVR」っていうアイディアです。こういうのがあったらいいなあという企画をTwitterで上げたら、一部作ってくれた人がいたんです。それがきっかけで、そういう方と話す機会がありまして。これから作るVRは、絵描きを支援するシステムです。皆さん本気でやってくださっていて、僕も本気で参加しようと思って、ポスターを描いたりしています。

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――Twitterでもポスターのラフを紹介されていましたね。女の子がとても可愛らしくて、印象に残っています。先生の作品は背景がメインかとは思うのですが、最近はキャラクターイラストのお仕事もなさっているのでしょうか。

そもそもはキャラクターから描き始めたんですけど、次第に背景のほうが楽しくなって。一時期、キャラクターを描くのをやめて背景ばっかり描いてました。
これから2冊目の本を出すのですが、そちらは「キャラクターの背景を描く」という企画になっています。「背景と演出を使って、キャラをどんなふうにかわいく、かっこよく見るか」をメインに、背景の描き方が学べる本になります。

-キャラクターは得意だけど背景は苦手、そんな方にピッタリですね。とても魅力的な企画だと思います。著書を含めた今後のご活躍も楽しみにしています! ありがとうございました!

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【注釈】
・液晶タブレット/ペンタブレット
ディスプレイに直接描き込むことができるタブレットを、液晶タブレットと呼ぶ(略称:液タブ)。ペンタブレットの場合は、手元のタブレットで描いたイラストが、ディスプレイに反映される。ペンタブレットは液タブと区別するために「板タブ」と呼ばれることもある。

 

よー清水  Yo Shimizu

大学卒業後、イラストレーター、コンセプトアーティストとして活動。『甲鉄城のカバネリ』コンセプトアート、Adobe Photoshop公式イラスト、PlayStation4、PlayStation Vita、Nintendo Switchなどのコンシューマーゲームやスマートフォンゲームの背景画、書籍の装画、カードイラスト、デジタルペインティングの講演など幅広く活動している。著書に『「ファンタジー背景」描き方教室 Photoshopで描く! 心を揺さぶる風景の秘訣』がある。

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