「バンド・デシネ」連載第13回目は、メビウス(作画)の『アンカル』 (L’Incal )について取り上げる。
『アンカル』は、探偵のジョン・ディフールが、宇宙の命運をにぎる謎の生命体”アンカル”を偶然手に入れるところから展開する。そして政府機関、武装組織、異星人が宇宙征服の野望のためにアンカルを追い、壮大な宇宙をまたにかけた争いにジョンが巻き込まれていく。
カルト映画『エル・トポ』で知られる奇才ホドロフスキーの原作に、映画『エイリアン』のデザイナーも務めたフランスの巨匠・メビウスが作画。この最強タッグの作品がフランスで発表された80年代当時、日本にもすぐ上陸したが、注目はほとんどされなかった。
当時の日本人の食いつきはサッパリだったものの、その高い芸術性は現在も世界各地で高く評価されており、ついに2010年に日本再上陸を果たした。“分かる人”にだけ分かるアート。30年の時を経て、現代の日本人は“分かる人”になっているだろうか。
宇宙という異次元の世界を表現する迫力のイラストは、「やっぱりメビウスだ」とうならせる。あなたのアンテナが反応するかどうか、一度この幻の長編作に触れてみてはどうだろうか。
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(C) Alexandro Jodorowsky, Mœbius
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