サロン・デル・マンガ スペシャル!
11月初旬にスペイン・バルセロナで開催された日本の漫画やアニメの祭典「バルセロナ・サロン・デル・マンガ(23 Saló del Manga de Barcelona)」では、日本のアニメ生誕100年を記念し、その歴史を紐解く展示が行われた。今回の連載では1917年に制作された、幸内純一の『塙凹内名刀之巻(はなわへこないめいとうのまき)』を紹介する。
別名は『なまくら刀』ともいい、1917年(大正6年)に小林商会が制作したその作品は、現存する日本最古の“アニメ”だ。
以前までは、作られた事実自体は知られていたものの、フィルムの実物は残っていないとされてきた。しかし今世紀になって、偶然骨董市で超プレミア映像が見つかったのだ。
昔の白黒映像のように、コマ毎にカタカタと動くアニメーションで、侍が刀で誤って自分の指をちょっと切ってしまったり、鞘になかなか収まらなかったりと、コメディタッチで表情の変化も愛嬌あふれている。
あるシーンでは、買ったばかりの刀の試し切りにと、辻斬りに臨む侍……。盲目の按摩に背後から近づくと、逆にゲタで後ろ蹴りを食らうわ、飛脚に挟み箱で殴られて踏まれるわ、武士の面目丸つぶれだ。
刀が宙をスローモーションで舞って手元にぴたりと戻ってくるなど、遊びも心満載。現代の私たちが見ても、思わず笑ってしまい、当時から日本はアニメのセンスがあったことを証明している。
『塙凹内名刀之巻(はなわへこないめいとうのまき)』、別名は『なまくら刀』(1917年)
「バルセロナ・サロン・デル・マンガ」の現地リポート、次回も乞うご期待!
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