「バンド・デシネ」連載第33回目は、フィリップ・フランクの『ラルゴ・ウィンチ(LARGO WINCH)』について取り上げる。
『ラルゴ・ウィンチ』は、1990年に制作が始まったアクション作品。しかし、作品内で取り入れられているアメリカ関連のアイデアは、はるか前の73年ごろに別企画で着想したもので、20年の時を経て大ヒットを生み出した。
主人公のラルゴは旧ユーゴスラビア生まれという設定だが、他のことは謎だらけ。富豪の父親が殺害され、若くして突然億万長者になる。そして彼の身の周りには、思いもしなかった巨大な陰謀が渦巻き始める。
大都会のコンクリートジャングルから本当の密林まで、命をかけて繰り広げられる戦いの舞台は非常に緻密でダイナミックに描写されていて、それでいて、色のトーンがべったりとしておらず、何ともバンド・デジネ的な気品を感じさせる。
2008年にはフランスとベルギーの合作で映画化し、邦題『ラルゴ・ウィンチ 宿命と逆襲』として、日本にも上陸しているので、まずはそちらを観るのもいいかもしれない。
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【漫画 × バンド・デシネ!】その㉜ ジャン・タバリーの『イズノグード』
©
Jean Van Hamme, Philippe Francq
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