「バンド・デシネ」連載第31回目は、デュパの『クビトゥス(Cubitus)』について取り上げる。
『クビトゥス』は1968年に雑誌Tintinで登場し、1988~89年にはTVアニメ『どんどんドメルとロン』の題名で日本にも上陸した。
『鉄腕アトム』のお茶の水博士にどことなく似ているお茶目な退役水兵の老人と、ペットの白い大型犬を中心にストーリーが展開する。
ギャグ漫画でテイストはかなり異なるが、時期的にはアトムの連載終了の年に登場した事実から、もしかしたら手塚治虫が影響を与えていたこともあるかもしれない。ロボットがよく登場したり、何かを発明したりするところも、気になる点だ。
クビトゥスは、見た目は犬というよりシロクマで、なぜか尻尾が黄色い。言動は限りなく人間的。二足歩行で言葉も話すし、擬人化と言ってもいいかもしれない。食いしん坊で現代人のように食べ過ぎでお腹が出ている。レトロなサイドカーに乗っている様子は愛嬌があり、愛犬のいる人なら、ちょっとマネしたくなる絵だ。
近所の黒猫が、天敵のようでもあり盟友のようでもあるクセのあるキャラで、いいアクセントになっている。セリフの言葉が分からなくても、絵だけでも十分に雄弁で楽しめる。
<連載第30回はこちら>
【漫画 × バンド・デシネ!】その㉚ ジョン=ジャン=クロード・メジエールの『ヴァレリアンとローレリナ』
© Dupa
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