15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第19回目は、大高忍の『マギ(MAGI)』について取り上げる。
本作品は2009年から制作が続く、『千夜一夜物語』や『アラビアンナイト』と呼ばれるイスラム世界の超有名な物語をモチーフにした冒険活劇だ。
現在のスペイン領土には、15世紀まで実に数百年もの間、イスラム系国家が存在していた。キリスト教世界の一部となっている今日も、建築や音楽などにその影響を色濃く見ることが出来る。
あまり接点のない日本にいると、過激派のテロ行為などの報道イメージばかり先行してしまうが、イスラム世界は非常に豊かな文化や芸術を有する。
『聖闘士星矢』が欧州文明の礎のギリシャ神話を土台にしているので、比較すると非常に興味深い。共通して言えることは、キャラクターのコスチュームが歴史的なデザインをアレンジしたもので、たまらなくステキという点だ。
イスラム文化がアレンジされたイラストは、スペイン人にとって身近でどことなく安心するようなものなのかもしれない。
<連載第18回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その⑱ つげ義春の『無能の人』
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