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『刻刻』の堀尾省太最新作、『ゴールデンゴールド』を楽しむための3つのポイント

突然だが、あなたは堀尾省太の新作マンガ、『ゴールデンゴールド』をご存じだろうか。

全く知らない、タイトルは知っているけど未読……という方は、ぜひこのコラムを読んでいただき、本屋にダッシュしてもらいたい! そして、すでにチェックしているマンガ通のあなたとは、この気持ちを分かち合いたい。そんな思いを込めて、今回は『ゴールデンゴールド』の魅力を3つピックアップしてご紹介する。「このマンガがすごい! 2017年オトコ編」5位にも輝いたこの最新作の秘密に迫っていこう。

①前作『刻刻』の魅力を引き継ぐ、閉鎖的な離島での物語

まずは堀尾の連載デビュー作、『刻刻』について簡単に触れよう。『刻刻』の舞台は時間が止まった「止界(しかい)」という異空間。この閉鎖空間を舞台に、平凡な一家が謎の宗教団体との凄惨な戦いに巻き込まれるというスリリングな展開に多くのファンが魅了された。

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『ゴールデンゴールド』も、閉鎖的な離島「寧島」が舞台となっており、前作との共通点を見いだせる。『刻刻』を読んだ際にも感銘を受けたのだが、堀尾は日常的な風景の中から突如浮かび上がる緊張感や恐怖を描くのが非常に達者で、読者は気づくと最後までページをめくらされてしまうのだ。もちろん、本作でもその手腕は健在。寧島を舞台に織りなされる物語のテンションに酔いしれてほしい。

②コミカルでシュール。でも……?一目で引き込まれるキャラクターの引力

……ところで、このキャラクターは何なのだろうか。

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「このお地蔵さんのような不思議なキャラクターが、本作の鍵を握っている!」と言われたら、あなたはどんな気持ちを抱くだろうか。物語は中2の少女・早坂琉花が、海辺で奇妙な置物を拾うところから始まる。拾った置物を祠に供え、琉花がある「お願い」をした瞬間、このキャラクターが突然姿を現すのだ。お地蔵さんは「フクノカミ」と名付けられ、その後琉花の祖母が営む商店は”異常なほど”繁盛していく。

「商売繁盛の神様、なんとありがたい!」と喜ぶのもつかの間、フクノカミを中心に、人々の歯車は少しづつ狂いだしていくのだ。

……しかし、もう一度画像を見てもらいたい。見方によっては少々かわいくて面白いキャラクターに思えないだろうか。これも堀尾作品の魅力の一つだと思うが、本作、実はユーモラスなシーンも非常に多いのだ。このコミカルさが不穏なシーンとのコントラストを生み、一言では説明しがたい読後感を醸し出しているのかもしれない。

③日常に潜む「わたしたち」の欲望。今後の展開やいかに!?

堀尾の描く人物はすぐそこにいるようなリアリティを持っている。寧島には琉花の家族、同級生、そして島民たちが生活しており、それぞれが事情と欲望を抱えている。タイトルにもあるように商売には「お金」がつきもの。この記事の読者にも、お金で苦労した経験のある方がいるかもしれない。そんな方にとって島民たちの欲望が渦巻き、膨れ上がっていく様は、面白くもあり、少なからず共感してしまう部分があるのではないだろうか。

コミックスは現在2巻まで刊行中。物語の雲行きは少しずつ怪しくなって、2巻のラストには背筋がひやりとするようなシーンも用意されている。本コラムでは3つのポイントをご紹介したが、ここで語りつくせなかった面白さは是非作品をお手に取って体験して貰いたい。リアルタイムで作品を楽しめる興奮と、徐々に明かされていく秘密を味わう恐怖感を、皆様と共有できれば幸いだ。

 

堀尾省太(ほりおせいた)
広島県生まれ。高橋のぼる氏と能條純一氏に師事。連載デビュー作『刻刻』で注目を集め、同作はマンガ大賞2011にもノミネートされた。
著書に『刻刻』全8巻。『ゴールデンゴールド』は講談社『月刊モーニング・ツー』にて連載中。

 

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