15回にわたり集中連載した「第35回バルセロナ国際コミックフェア」。訪れた会場のあるスペインで、人々は驚くほど多くの日本のマンガに親しんでいた。スペインの本屋で実際に見つけた日本のマンガを紹介していくこの連載第14回目は、矢沢あいの『天使なんかじゃない(No soy un ángel)』について取り上げる。
『天使なんかじゃない』は、1991年から1994年にかけて連載された少女漫画で、のっけから全校生徒の前で転倒して下着を見られることになる主人公・冴島翠と、当時の時代を反映するリーゼントの美男子・須藤晃会長率いる新設高校の生徒会の人間模様がういういしい。高校時代に誰もが経験する、仲間としでかす「おバカ」もウィットに富み、読んでいてたまらない。
学園祭など、何もないところから学校生活を創り出していく少年少女のパイオニア精神にも心躍る。日常にマンネリ感を感じる人は、読むと初心にかえって心が潤いそうだ。
スペインはカトリックの国。天使はスペイン語で「アンヘル」といい、人の名前にも使われるくらいに馴染み深い。古典的な日本の学園という舞台設定はもちろん、タイトルのネーミングもスペイン人の心に響くものだ。
<連載第13回はこちら>
【スペインで見つけた日本のマンガ】その⑬ 吉住渉の『ママレード・ボーイ』
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